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江戸と京都で美しい街づくり

東京の「お江戸日本橋」で高速道路をどけて昔の日本橋をつくろうとすれば、古都・京都では屋上広告や点滅式ネオンを全面禁止にしようとしている。今までの日本は国の景観を守ろうというより、経済発展第一主義で来た。このため、日本らしい風景が少なくなってしまい、醜い広告塔や電線が全国に張り巡らされている。京都に住む東洋文化研究家で「美しき日本の残像」の著書もあるアレックス・カー氏は、こうした日本の醜い風景を写真に撮って「美しい日本に戻す運動をすべきである」と、あらゆるところで訴えている。こうした声に応えようとして東西での運動になった。

 昔の日本橋を取り戻そうという運動は、小泉前首相の発言から始まった。外国人観光客を2010年までに1000万人にしようという「ビジット・ジャパン・キャンペーン」(VJC)に力を入れていた小泉首相は、日本に来ても見るところがないという声に対して、昔の日本橋を取り戻し、その下を流れる川を再生しようと発案。任期が終わる06年9月までに「日本橋川に空を取り戻す会」(伊藤滋・東京大学名誉教授、奥田碩・日本経団連名誉会長、中村秀夫・武蔵工大学長、作家の三浦朱門氏)に提言をしてもらうことにした。

 会は予定通り、9月に提言を行ったが、高速道路の移設費が4000億円から5000億円かかる。財政難の中でこうした金がかかるということで難しいという声が出た。小泉首相も退陣し、この構想もしぼんだ。ところが、中村学長が座長をしている「日本橋道と景観を考える懇談会」には、メンバーに国土交通省の安富正文事務次官や都市・地域整備、河川、道路、住宅、都市整備の局長が入っている。さらに事務局は国土交通省の道路企画課、道路経済調査室だ。このため「実現できる」(林洋太郎・三井不動産取締役・執行副社長)という声が出てきた。三井不動産によると、移設に要する追加で必要な事業費は1000億円から2000億円と試算されている。その理由は(1)街の高質化に伴い地域が受ける受益の一部を還元する(2)設計、施工の段階でコスト削減に努める(3)いずれ必要とされる首都高速道路の大規模再建築費も勘案する、などである。

 さらに石原知事が2016年のオリンピックを東京に誘致しようとしており、日本橋の景観を改善する必要がある、との見方も出た。

 京都市は2月の定例市議会に看板などの屋上広告物や屋外の点滅証明広告物を市内全域で禁止するとともに、建築物の高さ制限が出来るような新しい条例や条例改正案を提出する。認められれば4月からの実施となる。市内には屋外の許可している広告だけで約400カ所ある。このほかに点滅照明もあり、古都・京都の景観が壊されている。さらに高い建物ができて賀茂川から見る「大文字」や円通寺の庭園から見る比叡山などが見えにくくなってきた。こうした守るべき眺望として38地点をリストアップし、建物の高さを45メートルから31メートルにし、鴨川西岸では15メートルから12メートルにする。

 こうした規制に対して全国430社でつくる「全日本屋外広告業団体連合会」や「全日本ネオン協会」など業界4団体は、桝本頼兼市長に対し反対の申し入れをした。だが、桝本市長は「50年、100年後の京都を見据えた」と動じる気配はない。

 こうした京都の動きは景観法が出来たこともあり全国に広がりそうである。

2007年02月16日 asahi.com

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